データには様々な尺度があります。そのデータの特性を把握し尺度を使い分けることで、データを適切に分析することが出来ます。尺度には大きく分けて名義尺度・順序尺度・間隔尺度・比率尺度の4つがあります。
後の尺度はそれより前にある尺度を包含しているため、書いた順に尺度に対して使える演算は増えます。
まとめると次のようになります。
データを収集する際には、そのデータがどれだけの範囲において有効か考える必要があります。
例えばセンター試験は大抵の大学受験生のその時点での英語力を測るには有効です。しかし零点や満点等、端点にいる学生の英語力を測ることは難しくなります。極端な話、英国で10年過ごした帰国子女と英語を中学からよく勉強した一般人はともにセンター試験で満点を取ったとしても、両者の英語力には差が見られると十分に考えられます。
収集したデータの性質を良く知ることで、適切な手法を考えることが出来ます。
尺度を混同してしまうと、本来は許されない演算を行ってしまう場合があるため、注意しなければなりません。
比率尺度と間隔尺度の混同にはさほど問題はありません。何故なら標準偏差等統計でよく使われる手法は間隔尺度でも用いることが出来るからです。
間隔尺度と順序尺度の混同は問題を引き起こす場合があります。平均や標準偏差を順序尺度に用いてしまったため正しい分析とならない、ということがしばしば見られるからです。例えば評価基準が等間隔であるとは保証されていないため、アンケートの五段階評価の数値を平均するのは好ましくありません。このような誤った手法は論文においてよく見られますが、平均ではなく順序尺度でも使える中央値や最頻値を用いるべきです。
実際の研究で扱うデータを適切に分析するためには、それぞれの尺度の意味と計算を正確に理解する必要があります。(文責:ほしたべよ)